2024年、日銀が利上げを開始しましたが、金利が上がるとどうなるか知っていますか?
この記事では、金利が上がり「金利ある世界」になると、ビジネスや生活にどんな影響があるのか?をわかりやすく解説します。
「金利ある世界」で何がどうなるのか知りたい方は、ぜひチェックしてください!
そもそも金利って何?生活やビジネスに関係ある?
お金の貸し借りで借り手が払う対価(の割合)のこと
お金の貸し借りをする場合、通常、借り手が貸し手に対価を支払います。
この対価を利息(利子)と言います。
金利とは、借りた(貸した)金額に対する利息の割合のことで、%(パーセント)で表します。
例えば、100万円を1年間借りて、その対価として貸し手に1万支払う場合、金利は年1%です。
金利が上がる→お金を借りる時のコストが上がる
金利が上がるとお金を借りる(=借金をする)ときに支払う対価、つまり借金のコストが上がります。
借金なんてしないし、わたしには関係ない!って思うかもしれません。
でも、普通の人だって借金することはあります。
例えば、
- 車のローン
- 家を買う時の住宅ローン
- 学費のための貸与型(有利子)奨学金(=学資ローン)
など、大きなお金が必要になる時のローンです。
それ以外にも、
- クレジットカードのリボ払い
- クレジットカードのキャッシング
も借金ですので、金利が上昇すると支払いの負担が増えます。
ビジネスでも、
- 銀行から融資を受ける(=借金をする)
ことはよくあるので、金利が上がるとコストが増えることになります。
また、お金を借りること以上に、人にお金を貸すことなんてない!って思うかもしれません。
でも実は、多くの人は銀行にお金を貸しています。
「銀行へお金を預ける」というのは、「銀行にお金を貸している」ということだからです。
だから、銀行預金には金利がつくんですね!(今はスズメの涙ですが……)
貸し倒れのリスクが高い→金利が高くなる
貸したお金が返ってこない(=貸し倒れ)のリスクが高いほど、金利は高くなります。
例えば、100万円を1年間の期限、金利1%で貸し出すとします。
この時、
- パターン① 200人に貸して1人がお金を返さない場合(貸し倒れ率 0.5% = リスク低)
- 貸したお金:100万円 × 200人 = 20,000万円
- 返ってくるお金:(元本100万円 + 利息1万円) × 199人 = 20,099万円
- 差し引き:99万円の利益
- パターン② 200人に貸して2人がお金を返さない場合(貸し倒れ率 1.0% = リスク高)
- 貸したお金:100万円 × 200人 = 20,000万円
- 返ってくるお金:(元本100万円 + 利息1万円) × 198人 = 19.998万円
- 差し引き:2万円の損失
となります。
パターン①は黒字なのでいいですが、パターン②は損をしててお金を貸す意味がないですよね。
つまり、貸し倒れリスクの高いパターン②では、1%よりも高い金利じゃないとお金を貸せないということになります。
なので、「リスクが高い=金利が高い」ということになるわけですね。
政策金利って何?なんで経済に影響するの?
中央銀行が設定する金融政策のための金利
政策金利は、中央銀行(日本だと日本銀行)が、金融政策上の目的を実現のために設定する金利のことです。
金融政策の目的とは、例えば物価や金融システムの安定させる、といったことです。
物価が乱高下したり、急に銀行からお金を引き出せなくなったりしたら、困っちゃいますからね。
金利を上げて景気にブレーキを、金利を下げてアクセルを踏む
中央銀行は政策金利を上げることで景気を抑制(ブレーキ)して、下げることで刺激(アクセル)できるといわれています。
なぜなら、中央銀行が金利を上げると
- 世の中の借金のコストが上がる
- →借金してまで買い物をしなくなる
- →モノが売れなくなる
- →景気にブレーキ、物価が下がる
となり、逆に下げると、
- 世の中の借金のコストが下がる
- →借金してでも買い物するようになる
- →モノが売れるようになる
- →景気にアクセル、物価が上がる
となるからです。
なお、理論上はこんな感じですが、現実には政策金利を上げ下げしても、中央銀行が思ったような効果が出ないこともあります。
基本的な考え方はこんな感じ、ということです。
「金利ある世界」で生活やビジネスはどうなる?
日銀が17年ぶりにマイナス金利を解除、「金利ある世界」に
2024年、日銀が利上げを行い、マイナスだった政策金利を0.25%にして、日本は久しぶりに「金利ある世界」に戻ってきました。
日銀はこれまで、およそ17年間、ずっとマイナス金利政策を続けていました。
だから日本では、「銀行にお金を預けてもほとんど金利がつかない」というように、非常に低金利の状態でした。
さらに、もし政策金利が0.75%になれば、実に30年ぶりのことです。
「失われた30年」の間、日本はずっと金利がない(すごく低い)社会でした。
ちなみに、もっと昔には日本にも金利が高い時期がありました。
例えば、1990年ごろは「定期預金の金利が6%くらい」という、今では考えられない高金利でした。
2024年だと定期預金の金利は良くてもせいぜい0.3%くらいなので、20倍もの差があります!
デメリットは借金のコストが上がること
金利が高くなると借金をする時のコストが高くなります。
例えば、奨学金や住宅ローンの返済負担が増えたりします(金利変動型の場合)。
また、これからローンを組んで大きな買い物をしようとする人にとっては、買いにくくなります。
ビジネス面では、銀行から融資を受ける際の負担が大きくなってきます。
このように金利が上がると、まずは生活・ビジネスで負担が増えていきます。
資産運用には利回り向上のメリットもある
一方、金利が上がることで、運用している資産の利回りが上がる、というメリットがある場合もあります。
例えば、もうすでに
- 銀行の定期預金の金利が上がる
- これから発行される個人向け国債の金利が上がる
- すでに持っている国債の価値は下がります
- 「個人年金保険」や「学資保険」の利回りが上がる
のように利回りを上げる動きが出ています。
今後の注目点
どこまで、どれくらいのペースで金利が上がるか
2025年も、日銀は少しづつ利上げをしていくだろうと言われています。
この利上げが、
- どれくらいのペースで行われるか?
- 最終的にどこまで上がるか?
は注目ポイントです。
特に、これからローンを組んで住宅を買おうか悩んでいる人には、とても気になるところでしょう。
景気や物価はどうなる?
金利を上げると、景気にブレーキがかかり物価が下がる方向になる、と言われています。
現在、「物価が上がって生活が苦しい」という話もよく聞きます。
一方で、日本は長くデフレに悩まされてきたのが、ようやくインフレ傾向になりはじめたとも言えます。
この景気・物価が安定に向かっていくのかも、大きな注目ポイントです。
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