固定残業代制(みなし残業代制)って知っていますか?
この記事では、
- 固定残業代制の会社はブラックなのか?
- そもそも固定残業代制とは何か?
- 気をつけるポイントはどこか?
について解説します。
固定残業代制って大丈夫なのか心配な人は、ぜひチェックしてください!
固定残業代制(みなし残業代制)の会社はブラックなのか?
固定残業代制だからといって、ブラックとは限らない
「固定残業代制(みなし残業代制)」は、正しく制度が運用されていれば、労働者にとって不利益はありません。
そのため、
- 固定残業代制を採用していること
と、
- その会社がブラックかどうか
には関係がないです。
固定残業代制を採用している会社にも、ホワイト企業はたくさんあります。
正しい知識を持って、騙されたり誤魔化されたりしないことが大事
「固定残業代制(みなし残業代制)」は、名前の雰囲気などから内容を誤解されることもある制度です。
また、似たような名前でまったく別の「みなし労働時間制」というのもあり、勘違いや混同をしがちです。
労働者に嘘の説明をして騙したり、中身を曖昧にして誤魔化す悪質な会社も一部にあります。
正しい知識を持って、会社の説明におかしいところはないか判断できることが大切です。
固定残業代制(みなし残業代制)ってなに?
基本給に加えて、必ず一定の残業代を支払う制度
固定残業代制とは、基本給に加えて、必ず一定の時間、残業したとみなして固定残業代を支払う制度のことです。
みなし残業代制、と呼ばれたりもします。
例えば、
- 基本給:200,000円
- 固定残業時間:月20時間
- 固定残業代:31,250円
といった感じになります。
固定残業時間を超えた残業分は、別途もらえる
固定残業代制では、実際の残業時間が固定残業時間を超えた場合、超えた分の残業代をもらうことができます。
一方で、実際の残業時間が固定残業時間より少なくても、固定残業代は必ずもらえます。
例えば、上記のパターン(固定残業時間:月20時間)で考えると、
- 実際の残業時間:40時間の場合
- 基本給:200,000円
- 固定残業代:31,250円(固定残業20時間分)
- 超過分の残業代:31,250円(超過時間20時間分)
- 合計:262,500円
- 実際の残業時間:10時間の場合
- 基本給:200,000円
- 固定残業代:31,250円(固定残業20時間分)
- 合計;231,250円
のようになります。
つまり、どちらにしても「労働者が損をすることはない」ということになります。
固定残業代制で気をつけるポイントは?
固定残業時間が多い → 実際の残業時間も多い可能性がある
あらかじめ設定されている固定残業時間が多い場合、実際の残業時間もかなり多い可能性があります。
固定残業代制は、残業時間が固定残業時間よりも少なければ労働者にとってメリットがあります。
一方で、普段から残業が多い職場で、固定残業時間よりも残業が多い場合は、特別なメリットはありません。
会社側からしても、実態の残業時間よりもはるかに多い固定残業時間を設定すると、人件費が増えるだけで嬉しくないです。
ですので、固定残業時間が大きい会社に就職する時は、実態の残業時間がどれくらいなのかをあらかじめ確認するのがいいでしょう。
基本給が低く抑えられている場合がある
求人上の給与の額面が、特に説明もなく「基本給 + 固定残業代」となっている場合があります。
このような場合、基本給が思っていたよりも低いということになってしまいます。
例えば、上記の例だと、
- 基本給:200,000円
- 固定残業時間:月20時間
- 実際の残業時間:月20時間
- 固定残業代:31,250円
- 求人上の給与月額:231,250円
となります。
このとき、固定残業代制ではない別の求人、
- 基本給:210,000円
- 実際の残業時間:月20時間
- 求人上の給与月額:210,000円
と比較するとします。
単純に額面だけ見てしまうと231,250円の求人の方がいいようにも見えます。
でも本当は、基本給の高い210,000円の求人の方が残業代も多くなるので、給料的にはお得です。
それ以外にも、ボーナスは「基本給 × 何ヶ月」で計算する会社が多いので、基本給が低いと思ったよりボーナスがもらえない、なんてことにもなりかねません。
このように基本給はどうなのか?はちゃんと見ておく必要があります。
「みなし労働時間制」との勘違い
似たような名前の制度に「みなし労働時間制」という制度があります。
この「みなし労働時間制」と「固定残業代制(みなし残業代制)」は、全く別物なので注意が必要です。
みなし労働時間制度とは、
- 労働時間の計算(把握)が難しい場合
- 実際の労働時間に関わらず、一定の労働時間、働いたとみなす
という制度です。
この2種類の制度は、なんだか似ているように感じるかもしれませんが、全然違います。
労働者視点で最も大きな違いとしては、あらかじめ想定していた労働時間を超過した場合に、
- 固定残業代制(みなし残業代制)
- 超過分の残業代をもらえる
- みなし労働時間制
- 超過分の残業代はもらえない
という点です。
名前や考え方も似ているような気がしますが、制度を適用できる条件も内容も違うので勘違いや混同に気をつけましょう。
ルールを守っていない会社もある
このように、固定残業代制は基本的に労働者に不利になるような仕組みではありません。
しかし、それは会社がきちんとルールを守って制度を運用していれば、の話です。
固定残業代制を採用している会社の中には、
- 固定残業時間を超えた分の残業代を支払わない
- ルール:超過分の残業代は支払う
- そもそも労働時間(残業時間)をちゃんと把握していない
- ルール:労働時間を把握する必要がある
- 給与の内訳や算出方法が不明瞭(基本給や残業の割増を誤魔化している)
- ルール:基本給と残業代が判別できる
- ルール:残業代の計算方法が明示が必要
といったことをしているところもあります。
そのような会社はブラック(そもそもルール違反)なので注意しましょう。
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